古典園芸 桜草 その4 鉢について

さくらそう(プリムラシーボリティ)の鉢について

「さくらそう」はかつては日本桜草と呼ばれていました。長い伝統がありますから使用する鉢にもそれに相応しい歴史があります。江戸のころは一般的な植木鉢がなかったので台所用品を転用していました。味噌、塩などを入れる雑物入の陶器に水抜きの穴をあけて使いました。 孫半土(まごはんど)と呼ばれている鉢ですが、半胴甕(はんどうがめ)ともいわれ半斗(5升)の小型という謂れだったようです。

 この代替品を模してこしらえた鉢も孫半斗とよばれかなり流通しました。焼き目が粗くそれが桜草にあっていたようです。やがて土管メーカーによって今ある土管鉢、寸胴鉢ができました。鉢の縁周りに引かれた二本線が孫半斗の名残です。

 それらの鉢と桜草の生育との関係は、細かな点では差違があるでしょうが用土や水やりの管理で補える程度のものだったようです。現在では陶器に代わってプラスチック製を使う栽培家も増えました。陶器と見間違う色艶があり安価で、鉢底が水抜けしやすくできているので生育にも適しています。陶鉢(すえばち)という名称で売られています。

 しかし何と言っても丹波焼の鉢に人気があります。山野草にはよく合いますね。残念なのは入手が難しくなってきたことです。桜草は百鉢を超える銘柄コレクションする人が多いので同じトーンの陶鉢を最初からそろえるのも一考です。

左からプラスチック製の陶鉢(すえばち)、底が格子になっています。中央が丹波焼、右が土管鉢です。

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