古典園芸 キンラン

誰も知らない黄金いろの美花、キンラン

山に松林があるのに桜林がないのはなぜか、を知ろう

横浜市保土ケ谷区の住宅街の中に小さな神社があって、周辺に少し自然林が残っています。ここに毎年金色の花を咲かせる金蘭が、何とか生きながらえていました。十株ほどです。ところが草刈りなどして手入れをしたため、花が目立ってしまったのです。黄金色の素晴らしい花、金蘭が・・

 その上、市の管理係が看板を立て盗掘防止を訴えました。しかし筆者には「採ってください」と言っているようにみえました。案の定早朝散歩の折に見てみると以前写真にとっておいた一株が大きな穴を残して消えていました。

 銀蘭ギンランも10株ほどあったのですが、やはりやはり見当たりません。この二つのランは特殊な生態系環境に生きていて、菌根菌という土壌微生物が重要な役目をもっています。ですからその環境が守られない以上ゴミ出しのポリバケツが入るほど大きな穴をあけ、盗んでいったところで育たないでしょう。

 そのメカニズムは、樹木は光合成で得た糖類を、菌根菌はアミノ酸合成に必要なミネラルを樹木にあたえています。近年こうした地中環境の研究が進み、山に松林ができるのに桜林がないのはなぜか。それは菌根菌が関係している、という事などがわかってきました。菌根菌は、松の木の下に芽生えた松を優遇しますが、同様にして桜の下の桜には冷たい。それで桜は群生しないのだそうです。地中の微生物の世界は未だ未知の領域で興味深いですね。

 下記のURLから大成建設(株)の発表した菌根菌に関する研究報告が見られます。山林開発などの折り、希少植物の手厚い保護にあたった成果でしょうか。https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/220909_8937.html

 この街中の神社周りの自然林には、ムサシアブミもあったが、地域の自治会新聞に毒草だから注意、手入れには手袋、の記事が出て始末されてしまった。実を食べない限り問題ないのだが。そんな毒ならキョウチクトウだってジャガイモだって持っています。かくしてめぼしい野草はみな消えてしまいました。

 だが老鶯は元気です。梅雨明けですが、終日「ホーホケキョ」と鳴き止まない。やはり林ですね。。

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